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伝統技術の裏側 vol.4 デザイナーの視点

伝統技術の裏側 第4回目は地場の技術を使ったプロダクトのデザインなどでご活躍させているデザイナー nosignerさんに、伝統技術の今、伝統産業についてお伺いしたいと思います。

第1回でご紹介した「デザイン物産展ニッポン」。その中の徳島県のブースでご自身でデザインしたものを出展されていたnosigerさん。徳島県のブースに関っていたので、てっきり徳島県出身だと思っていたのですが…
「いえ、じつはそういうわけではないんです。大学院の時に徳島の家具のコンペに出して賞を頂いたことをきっかけに徳島の地場の技術を使ったデザインについて相談され、その後、徳島と深く関わるようになったんです。徳島は、もともと鏡台の産地でした。昔は婚礼家具のひとつとして欠かせないものだったのですが、嫁入り道具という文化が廃れてしまったことで、鏡台の生産は衰え、職人さん達の仕事は大変苦しい状態になりました。ただ鏡台という高い技術を必要とする家具を製作できる優れた木工技術があり、そこにデザインを加えることで何か面白いものが生み出せないかという依頼から、これまで職人さんと一緒にさまざまなプロダクトを作ってきました。」

写真でnosignerさんが座っている椅子の”HARI CHAIR”、手前の椅子”an chair”、デザイン遊山箱の”SUMI”をはじめ、最近では、三角と四角、菱形を組みあわせた小物入れシリーズなど徳島の地場産業のプロダクトを次々と発表しています。

「この小物入れシリーズは、アクセサリーや化粧筆などを入れることを想定して作っているんです。この商品に限らず、今年度は女性の”キレイになりたい”という思いをサポートする製品、という共通のコンセプトを立てて開発を進めています。嫁入り道具という考え方は廃れてしまったかもしれませんが、徳島の産物である鏡台がもっている、女性の‘キレイになりたい’という思いをサポートするというコンセプトは、現代の女性にも共感できる普遍的なものです。。徳島の伝統的な鏡台とコンセプトを共有することで、職人さんにも思い入れを持っていただけるプロジェクトにしたいですね。
デザインはデザイナーが作る物というよりは、それに関わる様々なことが必要な形を選び取っていくような出来事だと思っています。例えば、職人さんとのやり取りの中で次々とデザインが変化していく。作り手と思いを共有しながら作ることで、いいデザインが出来るのだと思います。」

なるほど。産地の職人さんにとっての価値やコンテクストを共有して一緒に作っていこうという気にさせることって大事ですね。CUUSOO JAPAN BRANDでデザインを募集している府中家具も、もとは、同じように婚礼家具として広まり、全国でも呼び名が高い家具の産地となりました。たとえば婚礼に関わるようなキーワードを絡めた提案は、製品化の可能性が高くなるということもあるかもしれませんね。
そして、職人さんと一緒に作り上げていくものだからこそ、メーカーや職人さん側のものづくりの努力を知ることも必要だといいます。
「職人さんの高齢化や継承者不足で、技術が若い世代に伝わっていないうちに、技術そのものがなくなってしまう危機的な状況があります。これはほとんどの産地に共通することではないでしょうか。僕は間近で見ていて、非常にもったいないと思っています。魅力的な商品が出来るということと、産地としての体力がつくことは、確かに深く繋がってはいても、また別のこととして考える必要があります。僕もデザインをきっかけとして、じっくりとですが、産地としての体力がつけられるような提案を心がけています。でも何よりもまず、産地の職人やメーカーも、自らが前へ進み、開拓する姿勢も大事だと思います。他が真似できない技術を実現することや、市場で勝負できる製造コストを実現することなど、うまく回る仕組みそのものを、企業や産地の体制として作っていかなくてはならないような気がします。現代に通用する流通の開拓をすることも含めて、変わるためには相当な企業努力が必要だと思います。そうそう。真似できない技術という意味では、因州和紙の立体成形技術は、技術に高い固有性があり、さらに日本的であるという意味で、すごく可能性がありそうですね。」

「世界からも日本の地場産業に技術の高さを期待している部分はあると思うんですよ。地場の職人が少なくなっているのは、日本だけでなく世界的な問題ですから。たとえば有名な例ですが、ipodの裏側の、ステンレスの鏡面仕上げは、もとは、鎚起銅器や銀器などを作っていた産地の新潟の燕市の研磨に関する技術です。地場の技術をうまく転化させた例ですね。」
確かに。たとえば、大島紬の提案でも、技術を他のものに転化するという発想で改めて提案をするのも面白いですよね。「空想生活のいいところは、アイディアが浮かんだときにぱっと投稿できることですね。参加しているメーカーの職人さんから、一緒に作っていきたいという気持ちを引き出す事が出来れば、きっといいものが生まれてくるのではないでしょうか。」
伝統とか文化の継承に「変えてはいけない部分と、変えなくてはいけない部分がある」と言われるように、地場産業側も変化を受け入れる姿勢が必要だし、デザインをする側も、地場のメーカーにとってやりがいのあるものとして提案するという視点が重要だと改めて感じました。
nosignerさん、どうもありがとうございました。

nosigner1.JPG

Designer profile

名前を顕示せず、自然なデザインを作りたいということから名を名乗らぬ者。そして、見えない物を作る職業、という意味の「nosigner(ノザイナー)」という名前でさまざまなプロダクトを作っています。

nosigner
http://www.nosigner.com/




2008/10/02 07:13 PM

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