| まずひとつの完成品をつくろうと決めてから、いくつもの試作品が生まれました。小さな積重ねの集結が、モノを作り上げていきます。
最新のモックがやってきました。図面通りに仕上がっていれば、頭に描いていたものになっているはず。 アクリルに傷がつかないように、白い布で何重にもくるまれた透明の塊が、机の上に並べられるのをじっと見つめます。そして、図面通りのものが目の前に現れました。
「古平さんたちの考えを形にしているのであって、僕はこれを『考える』ことは出来ないんです」。株式会社シマエレの嶋村さんはそう言いますが、私達は考えることはできても、形にすることが出来ない。実現可能かの前に、「したい」という気持ちを汲んでくれる技術者の存在が、大きな助けです。時には無謀ともわがままとも取れる私達の希望を、粘り強く聞いてくれるのですから。
これまで思いが形になるたびに、何度も興奮しましたが、今回は格別です。スイッチを入れる前の状態は、初期モックから格段の進歩。
さていよいよ電気を入れます。今回、形状だけでなく電気の力が必要だったため、完成までに時間がかかったと言えます。いくら見た目が思い通りでも、通電してみて透明⇔不透明、光る⇔消えるができなければ意味がありません。
OK!ウムのオンオフスイッチも作動しますし、LEDを使った照明装置も台に組み込まれています。機能はもうこれで充分揃っている。ウムフィルムはまだアルファベットにパターニングされていませんが、オンオフの様子もよく分かる。本当に素晴らしい。
でも、試作はまだ続きます。現物を前にしたから見えてくる、ディテールの修正が残っているからです。完成度をぐんと上げられるかは、最後の数%を頑張れるか否かにかかっています。
「台にセットしやすいキューブと、しにくいのがあるでしょう」。嶋村さんが言う通り、ノギスで計ると0.5mmほどのわずかな誤差がある。本番では細かい精度が求められます。別に、ウムをカッターで切っている箇所の「手作りっぽさ」を消したい。古平さんは、ここは譲れない様子。対処法を昭和化成に相談することにしました。台のネジも、やはり気になる。アクリルの削出しを見積ることもあわせて依頼、等々。ディテールの詰めが全体に及びます。
|