空想マガジン
デザインの舞台裏 第18回
石田和人さん

大手ゼネコンのインテリア設計会社で経験を積み、独立して今年でちょうど10年。現在はプロダクトデザインを中心 に活動している石田和人さんが、今回のゲストです。

「家具のデザインはもともと好きでしたが、好きなのと知識として自分のものになっているのとは別のこと。インテ リアの仕事においては、空間の中にどのような家具を使うかを考えることも大事。様々な経験の中で蓄積していって、今の自分があると思います」。

石田和人さん
石田和人さん。背景のマガジンフックも作品です。

ネットワークは大事

ご自分の事務所を構えた当初は、インテリアデザインの仕事の方が圧倒的に多かったとか。オファーされた仕事にしっかり向きあいながら、家具のデザインにも取り組んだそうです。

「コンペには積極的に出品しましたし、展覧会にも参加させてもらったり、とにかくモックアップをたくさん作りました。」

そして初めて商品化されたのが「KIKI」という組立式の木の椅子で、2000年のことです。いまではインテリアデザインよりも家具を始めとするプロダクトデザインの仕事の方が比重が大きくなっていて、複数のプロジェクトを並行して進めている状況だそうです。

「仕事が始まるきっかけですか? それはやはり人間関係というか、これまでに培ってきたネットワークが大きいと思います。コンペや展覧会って、自分のデザインを見てもらったり発表すると同時に、いろいろな方と知り合える場でもある。違う分野で活躍する方にも会えますし。貴重な時間ですよね」。

人が楽しく集えること

企業やメーカーと家具の仕事を進める際、石田さんは最初のうちはスケッチや図面は提出しないそうです。では何を見せるのですか。

「いえ、お見せするのではなく、重視するのは会話なんです。『生活をどうしたいのか』ということを、クライアントと共に話していくことが、僕にとってのプレゼンテーション。形の前に理由ありきというのが僕の考え。目的がないと形は生まれてこない。たとえば『人が楽しくなる』ことが大切ならば、どんな家具が必要なのか。『人が集いたくなる』ってどんな場なのか。インテリアデザインの仕事をしていたことも影響していると思いますが、家具単体ではなく、常に空間ありきで考えます」。

たとえば平らな板と脚があればテーブルは出来る、それを空間の中でどう使うのか、どういう生活がしたいからテーブルが必要なのかを考えるのが石田さんにとってのデザインなのです。それはつまり、家具を使う側にも「どういう生活をしたいのか」がはっきりイメージ出来ていることが大事だということを、お話を聞きながら改めて感じました。

部材から空想が始まる!?

多忙な時間を過ごす石田さんですが、空想生活へも何かを提案しようとあれこれ考えてくれています。

「先ほどお話ししたように、僕にとっては目的があることが大事、というか目的がないとアイデアは生まれにくい。だから空想生活にアイデアを投稿したいという気持はあるものの、誰がどういうシチュエーションで使うものか、自分のなかで特定しにくいのが悩ましいところ。そこで今考えているのは、プロダクト関連の既存の部材を転用すること。たとえばピクチャーレールの新しい使い方をみんなで考えるっていうのはどうでしょうか」。

すでにあるアイテムの新たな活用法を生み出す、うん、それも立派な空想ですね! 元気な石田さんの話を聞いていると、こちらまでパワーがみなぎってくるようでした。ありがとうございました!

石田和人さんの家具
2000年に商品化した「kiki」。組立式の木の椅子です。



関連リンク:石田和人デザインスタジオ