空想マガジン
30年後をCUUSOOする 第5回 ( Part1 Part2
(株)トライコーダ 代表取締役 上野 宣さん

今は発展途上で、危険がいっぱいの
インターネット・セキュリティ。
30年後はもっと安全に楽しめるようになるはず

上野 宣さん

10数年前に使っていた「記念碑的」Macの前で。


「30年後をCUUSOOするために、まずはこれまでの30年間を振り返ってみたいんです」というのは、上野宣さん。今32歳、30年前はよちよち歩きの子どもだった上野さんは、「情報セキュリティ」を世に広げるべく、「トライコーダ」という会社を設立し、クライアントのコンピュータネットワークの安全を検査するサービスを提供。同時に、講演や執筆活動といった方面でも活動しています。

SFが現実になった!

「僕の父は放送会社の技術者という職業に加えて新しもの好きだったため、家には常に『最新家電』があふれていました。電子レンジ、コードレスホンといったものの日本第一号を持っていた。ですから30年前にはコンピュータも我が家にあったんです」
――すごい! 32歳にしてコンピュータ歴30年。目の前にいる上野さんがまぶしく見えます。
「30年前って、コンピュータにとっては大変革の時なんですよ。アップルコンピュータ社が設立されたのが1976年、オラクル社はまさに30年前の1977年、それはインターネットを支えるネットワーク接続規格をつくろうという声があがり始めた年でもある。それから30年たって、多くの人がパソコンや携帯電話を使ってインターネットを利用している、これってものすごい変化ですよね。携帯電話のようなものが登場して、日常生活に入り込んでくるなんて、当時からしたらまるでSF小説の世界でしょう!?」
――確かにそうです。携帯電話がない世の中なんて考えられないくらい浸透しているけれども、幼い頃はプッシュホンだって珍しかった。電話が手のひらにおさまって持ち運びできるなんて、ほんと、想像もしていませんでした。
「ですよね。想像の世界がリアルになっている、それぐらいの飛躍的進歩を遂げている。ですが僕が専門としている情報セキュリティという視点から見ると、いまのコンピュータって、何のルールもない状態で、見方を変えるととても危険なんです」

技術の向上、教育の普及

――「自動車が世の中に登場しはじめた時と似ていると思う」と上野さんはおっしゃいます。その意味は?
「人間の足よりも馬車よりも、遠くへ速く移動できる自動車は、黎明期にはごくごく限られたお金持ちのための貴重で稀少な道具でしたよね。それが普及していくにつれて道路が整備され、信号が配置され、インフラが整っていった。同時に、車自体の性能も向上して、今に至っている。ドライバーや歩行者が周囲に目を配ることも大切だけれども、エアバッグがどんな車にも整備されていることで、安全度はぐんと高まるというのが現実です。現在のコンピュータの世界は、インフラがまだまだ整っていない状態。車にたとえるならば『歩行者は道路に飛び出すとひかれる恐れがある』『スピードを出しすぎるのは危険』といった最低限のルールが行き渡らず、多くの人が『コンピュータのどんな点が危ないのか』がわからないまま使っている。それ以前に、道路も整備されていないレベルかも知れない。
これを改善するために一番必要なのは、技術の向上です。そして教育。大げさに聞こえるかも知れませんが、国策として取り組んでおかしくないと僕は思っている。授業に組み込まずとも、交通安全教室のように学校でもコンピュータのルールを教えていくべきだと思いませんか?」

気にせず危険は回避する

――上野さんの話は説得力があり、思わず聞き入ってしまいます。私たちはもう、インターネットのない生活なんて考えられない。だからこそ、ある程度の知識を得た上で付き合うことの大切さを認識すべきなのですね。
「いろんな分野の専門家が、すでに対策を考えています。わかりやすい例で言えば、気が付かないうちに危ないサイトにアクセスしていた、なんてことを未然に防ぐような対策です。現状は、多くの人は危険を認識していない、つまり気にしていないんですよね。30年後、いまと同じぐらい気にせずともセキュリティが守られている、それぐらい進歩しているはずです」。
――30年後をCUUSOOすることで、今すべきことが見えてくる、そんな上野さんの話は刺激的です。次回は、引き続き上野さんに個人的なCUUSOOをお聞きします。こちらもワクワクしますよ、お楽しみに!

関連リンク:(株)トライコーダ